Gag Story Change ―2―「・・・悟空・・・ちゃん??」悟空が金精眼を見開く。 「誰だ・・・貴様。」聞き慣れた声がした。 扉に不機嫌な顔で立っているのは・・・「あたしっ!!?」三蔵が叫んだ。 桃花が眉間に皺を寄せながら、ズカズカと部屋へ入ってきた。 そしてグイッと三蔵の胸ぐらを掴み、 「てめぇ・・俺とそっくりな偽物とは、いい度胸じゃねぇか。」 と、桃花が凄んだ。 胸ぐらを掴まれた三蔵は、既に白昼夢の世界へ旅立とうとしていた。 『夢夢夢夢・・・うう、ぜったい夢だって・・ほら、お花畑が・・。』 その間も、悟空は自分の体を洗面台の鏡に映してみて、何やら考え込んでいる。 「・・・なんだよぉ~・・なんか騒ぎか?俺、腹減ったんだけど・・・。」 場の状況を考えない、呑気な台詞を大欠伸と共に言って入ってきたのは・・・・・ 「八戒・・?」桃花が怪訝な顔をする。 「なるほど・・・どうやら人格が入れ替わっているみたいですね・・・。」 顎に手をあてながら、悟空が思慮深そうに言った。 「・・人格の入れ替わり?」桃花が三蔵から手を離す。 「貴女は・・・三蔵ですか?」悟空の問いかけに、 「当たり前だ。俺が、三蔵でなくてどうする。」桃花が、威風堂々と言い放つ。 「・・で、悟空、ですか?」悟空が八戒に問いかける。 「へ・・俺、悟空・・ってアレッ!?なんで俺が居るんだっ!? ちょっ・・・ちょっとお前、誰だよっ!?」慌てふためく八戒。 ソレを無視して、 「桃花・・ですね?桃花?桃花??」 「・・・・っはぅ!?・・なんか川を渡りそうに・・・えっ?何??」 悟空の再三の問いかけに、三蔵が我を取り戻す。 「みんな、落ち着いて鏡を見ましょう・・。」 悟空に促され、狭い洗面台にひしめき合って立つ、三人。 「・・・チッ。どう言う事だ、コレは?」不機嫌度アップの桃花。 「おっ俺・・八戒になってるっ!?」ますます混乱する八戒。 「やっぱ・・夢じゃないぃ~っ!」半泣きの三蔵。 「原因は判りませんが・・僕たちの人格が入れ替わってます。」 冷静に状況判断する悟空。 三蔵×桃花 悟空×八戒 の、図式が成り立った。「悟浄君は?」三蔵が聞いた。 あの大声にも起きてこない。 「昨夜は遅かったですから、外泊はしてないですけど・・。」 悟空が不安げに顔を曇らせる。 「もしかして、もっと酷い目にっ・・!」 三蔵の声で、皆が悟浄の部屋へと急いだ。 「悟浄君っ!」「悟浄っ!!」呼び声と共に、扉を開けて飛び込んだ―――――― 悟浄は部屋の中央に立っていた。背中を向けて。 「悟浄・・・。」ゆっくりと振り返りながら、 「キューーーーッ・・・」 悟浄が、鳴いた。 ジャンル別一覧
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